「FTR223って壊れやすいって聞いたけど大丈夫かな…」
これから買おうとしている人や、買ったばかりでまだよくわからない人の中には、そんな不安を抱えている方も多いと思います。
結論から言うと、FTR223は基本的に頑丈で長持ちするバイクです。
ただし、キャブレター車ならではのクセや、中古車特有のコンディション差があるため、ちょっとした知識がないと「壊れやすい!」と感じてしまう場面もあります。
この記事では、FTR223歴○年の私が、実際に乗ってわかったFTR223の「壊れやすいと言われる理由」と、その対策について解説します。
FTR223は2016年に生産を終了したためこれから買う方は少ないかもしれませんが、他のバイクを見る際にも「こんな視点があるんだ」と参考にしていただければ幸いです。
FTR223が「壊れやすい」と言われる理由
1. キャブレター車ならではのクセ
FTR223は燃料供給にキャブレターを採用しています。
最近のバイクはほとんどがインジェクション式なので、FTR223はちょっとレトロな構造です。
キャブ車の特徴として、
- エンジン始動時に暖気が必要
- 気温や標高の変化で調子が変わりやすい
というクセがあります。
特に高山ツーリングでは気圧の影響で混合気が薄くなり、エンジンがかかりにくくなることもあるとかないとか。
私の経験上富士宮口五合目(標高2400m)でも問題ありませんでした。
インジェクション式のバイクは周囲の環境(気温、気圧、エンジン水温など)に合わせてECU(engine control unit)が燃料の吐出量を自動で変えてくれますが、キャブレター式は部品そのものを交換しないとセッティングできないのが理由です。
これは壊れているわけではなく、キャブレター車特有の「仕様」なんです。
ポイント
アイドリングが安定するまで暖気をしっかり行うことと、もし高い山に登って調子が悪ければキャブ車の特性と考えて下山する心構えが大切です。
2. カスタム車が多く、燃調が合っていないことがある
FTR223はカスタムベースとして人気が高く、マフラーやエアクリーナーを交換している車両も多いです。
ですが、パーツだけ交換して燃料のセッティング(燃調)が合っていない個体は要注意。
燃調が狂っていると、
- アイドリングが安定しない
- 走行中に息つきする
- プラグがすぐかぶる
といった不調が出やすくなります。
具体的には
- 乗り出しや信号待ちの途中、または発進時にエンストしてしまう
- アクセルを全開→全閉にすると一時的にエンストする
(主にダイヤフラムの劣化が原因。走行中なので一瞬燃焼が止まっても再始動する) - 走行中にエンジンがストール(停止)する など
カスタム車の不具合はFTR223に限らず、どんなバイクにも起こりえることなので注意してくださいね。
もし中古車を購入する場合は、「カスタムは見た目だけじゃない」という意識を持ち、信頼できるショップでチェックしてもらうのがおすすめです。
3. キャブ内部パーツの詰まりやすさ
キャブレターの内部には、燃料の量を精密に調整するための小さな部品が使われています。
とても小さな穴が開いていて、その穴の径で燃料を制御(セッティング)しています。
- メインジェット
- スロージェット
- パイロットスクリュー
これらは長年使われずに放置されると、ガソリンが劣化して詰まりやすくなります。
詰まるとエンジンがかかりにくくなったり、走りがスムーズでなくなることも。
ガソリンは洗浄力が高いので普段から乗って、キャブレター内をガソリンが循環していれば詰まることは稀です。
私の愛車もおおよそ週に一回は乗っているためか、10年経ってもピカピカです。掃除するところがなさ過ぎてキャブレターを開けてがっかりするほど。
対策
- 定期的に運転する
(ガソリンを抜いても湿気たところに置くと錆びるので注意しましょう)- 走行状態が分からない年式の古い車両は、キャブクリーニングを早めに行う
エンジン全開で走ると壊れる?
FTR223は16馬力※と控えめなパワーの単気筒バイクです。
そのため、高速道路や坂道では「全開で走っても大丈夫なの?」と不安になる方もいます。
結論から言えば、常識の範囲内で全開にする程度なら問題ありません。
無負荷で、走行風もなく全開にするのは控えましょう。
ただし注意したいのは以下の点です。
- エンジンが冷え切った状態でいきなり高回転にしない
- オイル管理を怠らない(3000km毎の交換を推奨)
エンジン(オイル)が冷えていると抵抗が大きく、負荷がかかってしまいます。
また経験上2週間程度乗らないでいるとエンジンオイルがエンジン内から落ちてきてしまっているので、エンジン内にオイルを行き渡らせるためにも暖気をしっかり行いましょう。
エンジンオイルの交換頻度は諸説あるので判断が難しいですが、私の感覚では長く交換していないと「カーボンの黒さが混じる」「粘度が下がってサラサラになる」気がします。
3000km毎の交換で10年元気に動いているので、各々でお財布事情と相談して納得のいく塩梅を探していただきたいです。
連続走行に関しては80km/h~100km/hで2時間走っても、ある程度スロットルを開けながら6時間走っても、急な峠を全力で登っても(スピードは出ないが)エンジンは全く問題ありません。
※FTR223は元々19馬力でしたが、新しい型式では環境(排ガス)規制のためにキャブレターセッティングを変更して16馬力に落としてあります。
オーナー体験談:燃料コックのちょっとしたクセ
私のFTR223にはちょっとしたクセがあります。
燃料コックを「OFF」にして保管しておくと、「ON」に戻してもすぐにはエンジンがかからない。
ガソリンがキャブレターに満たされるまで少し時間がかかるようで、
- 切り替え直後はセルを回してもかからない
- 一晩ONにしておくとスムーズに始動する
といった現象が起きます。
他の方で同じ症状(特性?)を発信している方は見つからなくて、ちょっとした個性なのかもしれません。
普段はONのままで、長期で乗らない場合にOFFにしても前日にONにしておけば問題なく走れます。
車でもバイクでも、多かれ少なかれ個性があるものです。
メーカーに一言いいたくなる気持ちも、何とか改善したくなる気持ちもわかりますがちょっとしたクセであれば受け入れることで愛着がわきますよ。
FTR223はむしろ「壊れにくい」バイク
ここまで「壊れやすさ」に関する事例を紹介してきましたが、実際にはFTR223は頑丈で壊れにくいバイクです。
その理由は、
- 単気筒エンジンで構造がシンプル
- 空冷なので冷却系トラブルがない
- キャブレター式で、バイクが全体的に電子制御少なめ
にあります。
実際、私のFTR223は使い方こそエンジンをぶん回してみたり、林道をはねながら走ってみたりしていますが、メンテナンスは欠かさずに行っているので、8万kmを突破した今でも現役です。
長く快適に乗るための予防メンテナンス
FTR223に限らず愛車に長く快適に乗るためにちょっとしたメンテナンスが大切です。
- 洗車
全ての始まり。愛着も湧くし、少しずつメカにも興味が持てるようになります(興味が湧けば、調べるようになり、詳しくなります)。
何度も見ていれば変化も読み取れるようになります。変化が分かれば何を交換すべきか、どんなメンテナンスをすべきか、どんな運転をすべきか少しずつ分かってきます。 - エンジンオイルを定期的に交換
正解はありませんが3000km毎でも5000km毎でも、半年毎でも1年毎でもいいので決めて実行しましょう。 - 定期的に運転する
機械は運転していなくても劣化します。運転すればガソリンやオイルを循環させて、可動部の固着を防げます。
私の偏見たっぷりですが、上記ができればあとは気になった時に都度対応すれば末永く愛車ライフを送れるはずです。
まとめ:FTR223はクセを知れば壊れにくい相棒に
FTR223が「壊れやすい」と言われるとすれば、キャブレター車ならではのクセや、(中古車の)カスタムされた個体の多さからのコンディション差が原因です。
しかし、仕組みを理解して正しくメンテナンスすれば、非常にタフで長持ちするバイクです。
これからFTR223に乗るあなたも、少しずつ知識を身につけながら、愛車との時間を楽しんでください。
FTR223は、きっと長く付き合える相棒になりますよ。