FTR223は、2000年から2016年まで発売されていた排気量223ccの中型バイクです。
シンプルな構造で手軽に乗れる軽量ボディは、カスタムベースとしても人気を集めました。
今回はFTR223を例にお話ししますが、残念ながらすでに生産終了となっているため、他のバイク選びにも応用できるよう一般的な視点も交えてご紹介します。
中古FTR223はカスタム車両が多い
FTR223はカスタムが流行したモデルなので、中古市場に出回っている車両の多くは、見た目(カウルやミラー、ハンドル)はもちろんのこと、走行性能に関わる部分(吸排気やキャブレター、スプロケット)も変更されている可能性があります。
ただし、その分エンジンの調子に影響が出ている場合もあるので要注意です。
私のFTR223はほぼカスタムをしていないので、ほとんど純正レビューと思ってください。もちろんカスタムすると純正状態から性能が変わってしまうため、購入の際はどんなカスタムが施されているかよく確認してください。
FTR223の成り立ちと特徴
FTR223の前身となるFTR250は、1980年代にアメリカのダートトラック競技用車(FT400/500)をモデルとして登場しましたが人気が出ずに3年ほどで生産終了に。(FTRの由来はFlat Track Racerから)
しかしカスタムブームの中で2000年、FTR223は当時のSL230のエンジンを流用して復活。特徴的なブロックタイヤは元をたどればダート用だった先祖の流れを受け継いだものです。
このブロックタイヤのおかげで、ちょっとした砂利道や土の道も安心して走れるのが魅力です。
単気筒エンジンは低速トルクが豊かで、エンストしにくく扱いやすい点もポイント。街中をゆったり流すのにちょうど良い性能です。
FTR223のメリット・デメリット
FTR223の特徴は次の通りです。
- 車体が軽い
- カウルが少なめ
- 乗車姿勢が楽
- ハンドル幅が広い
- タンクがスリム
- エンジン出力が控えめ
車体が軽い
乾燥重量は119kgと非常に軽量。
広いハンドル幅と相まって取り回しが楽で、駐輪場での出し入れもスムーズです。初心者にとっては立ちゴケしそうな場面でも踏ん張れる安心感があります。
運転していてもアクセルやブレーキが多少甘くても力技で押さえられたりするので、初心者の練習用としても手を出しやすいと思います。
ブロックパターンのタイヤはオフロード寄りの性格を持つため、軽い車体と相まって田舎道や林道の探検に出かけたくなります。
街乗りから山間部まで軽快に扱える一方、高速走行時は大型バイクに比べて安定感が劣ります。
カウルが少なめ
ゼッケンプレートや(タイヤ)フェンダーを除けば、両サイドの小さなカウルのみ。いわゆるネイキッドスタイルです。
カウルが少ない分、マフラーやキャブレター、プラグなど各部へのアクセスが容易で、メンテナンスや清掃、カスタムがしやすいのも魅力。
空冷エンジンのためラジエーターもなく、洗車も簡単です。
※ちなみにシート下の小さなカウルは、かつての「ドライサンプ方式」のオイルタンクの名残と言われています。
・ウェットサンプ・・・エンジンの下にオイルがたまっている。現在の主流。
・ドライサンプ・・・エンジンオイルを専用オイルタンクに汲んでおく。
乗車姿勢が楽
ハンドルとシートの距離が近く、自然に上半身が起きたポジションになります。視界も良く、信号待ちでも疲れにくいです。
よくレーサーレプリカ乗りが信号待ちでハンドルから手を放して休憩していますね。FTR223はハンドルを持った姿勢でいても前傾にならないのでそのまま待っても疲れません。
ただし、速度を上げると風をまともに受けるので、80km/hを超えるあたりからはやや疲れを感じます。
FTR223に乗って高速道路を走る人は多くないと思いますが、速度を上げて使う人には不向きかもしれません。
100km/hあたりからは「ハンドルにしがみつく」感覚になってきます。
ハンドル幅が広い
ハンドル幅は約780mm(全幅830mm)と広め。先祖のバイクがダート用だった流れから、ハンドルが取られやすい未舗装路でも安定して操作できるハンドル幅になっています。
切り返しが軽く、姿勢も楽ですが、風の抵抗を受けやすい点や、車幅があることで狭い道やすり抜けには不便なこともあります。
タンクがスリム
ンクが小さいためニーグリップが効きにくく、燃料容量も7.2Lと少なめ。
教習であれだけ習ったニーグリップですが、それが不要なほど車体が軽いので困ることはありません。
実際の航続距離はリザーブまでが約150km、エンストまでは100kmくらいのイメージ。合計で250kmほど。
純正かつ私のおとなしい運転で36km/Lくらい走りますが、運転の仕方やカスタム状態によっては短くなる場合があります。私の友人はカスタム済みのバイクを購入してリザーブまで100kmくらいと言っていたので、長距離ツーリングには少し物足りないかもしれません。
エンジン出力が控えめ
単気筒らしい低速トルクで街中や田舎道を快適に走れる一方、高速走行では振動が大きめ。1時間くらい高速巡航をしているとお尻が痺れてきます。
車体も軽いので街中を走るのはもちろんのこと、山間部に現れる細い道、ひび割れてボコボコになったアスファルト、杉の枯れ枝などを気にせず走ることができます。
これは低速トルクがある上にアクセルを開けてもいきなりパワーが出ないエンジン特性のためで、ちょっとした悪路も安心して走れます。
まとめ:FTR223はどんな人におすすめ?
FTR223は、
- 軽くて扱いやすいバイクが欲しい方
- 自分でメンテナンスを楽しみたい方
- 街乗りや田舎道を気軽に走りたい方
に特におすすめです。
「ちょうど良いパワー感」は特別運転が上手でなくても気軽にアクセルを開ける楽しみがあり、
「アナログ満載のシンプルな作り」は特別機械に詳しくなくてもが気軽に部品交換やメンテナンスを楽しめます。
たまに引っ張り出して早く走るだけでない、日常的に、気軽に楽しめる相棒のようなバイクの魅力を感じたい方にぴったりの1台です。
※路上を走行する際は法定速度およびご自身の技量に合った安全運転を心がけてください。また、メンテナンスを行う際は自己責任で確実に実施しましょう。